大きな相手にも全力で――聴覚障害のプロレスラー、今井礼夢選手インタビュー

2021/03/05

障害者eスポーツに関するニュースサイトを運営する「ePARA」の代表・加藤大貴氏が、eスポーツやゲームに関わるさまざまな方にインタビューする不定期企画。今回は、聴覚障害(先天性難聴)の当事者でプロレスラーの今井礼夢(いまい・らいむ)選手に、手話通訳を介してインタビューしました。

※インタビューは今井礼夢選手のお母さま、今井絵理子さんの手話通訳の上行っています。

悔しいデビュー戦で得た、かけがえのない経験

加藤:プロデビューおめでとうございます。昨年(2020年)12月7日の試合は惜しくも黒星でしたが、試合の感想はいかがですか? 振り返ってみて、現時点の気持ちをお聞かせください。

礼夢:試合の結果は負けてしまって本当に悔しかったです。でもこれから、ここからがスタートなので、前向きに取り組んでいきたいと思っています。試合自体はとても楽しかったです。

進学せずプロの道へ。その決意と母の言葉

今井礼夢(いまい・らいむ)選手

加藤:昨年(2020年)3月にろう学校中等部を卒業し、「高等部に進学しない」という大きな決断をされました。この決断に至った気持ちを教えてください。

礼夢:高等部に行くかどうかはとても悩んだんですけど、毎日の練習やトレーニングに集中したいという思いがあり、高等部に行かないという決断に至りました。

加藤:「高等部に進学しない」という決断に対し、お母様(今井絵理子さん)の反応はどうでしたか? 最初は反対されましたか? それとも最初から全面的に応援してくれましたか?

礼夢:母は反対しませんでした。「応援するよ」といってくれて、励ましてくれました。

大きな相手に向き合い、立ち向かうということ

加藤:今日練習を見学させていただいて、すごく大きな音で迫力を感じました。練習のときは身体の痛みとかはないものなんですか?

礼夢:マットに叩きつけられるような場面では、痛い時ももちろんあります。

加藤:周囲のほかの選手は、礼夢選手よりずっと体の大きな選手ばかりですよね。立ち向かうときは怖かったりはしないですか?

礼夢:確かに大きく感じますが、そこは気持ちでしっかりと立ち向かうようにしています。

加藤:勇気と心の強さを感じますね。

プロレスゲーム「WWE 2K」と礼夢選手

加藤:「プロレスゲームが好き」というプロフィールを拝見しましたが、どんなタイトルのゲームが好きですか?

礼夢:WWE 2Kシリーズ(外部サイト)」という、アメリカのプロレスリングを題材としたゲームをしています。

加藤:「WWEシリーズ」以外にも、ストリートファイターや鉄拳等の格闘ゲームはされますか? 他にもプレイしているゲームがあれば教えてください。

礼夢:ストリートファイターなどに触れたことはないですが、東京オリンピックを題材としたゲーム「東京2020オリンピック The Official Video Game™(外部サイト)」をやっています!

加藤:実はそのタイトルには私たちも取り組んでいますので、いつか交流したいですね!

障害を持つアスリートとして、ePARAに思うこと

加藤:私たちの団体(ePARA)は、バリアフリーeスポーツという「障害の有無に関わらず、eスポーツをつうじた相互理解を図る」という活動をしています。団体には、全盲の格闘ゲーム選手や聴覚障害のFPSゲームの選手もいます。そういったバリアフリーeスポーツに対し感想をいただきたいと思いますがいかがですか?

礼夢:見えなかったり聞こえなかったりする中で、ゲームの世界で障害の有無にかかわらず戦うことができるというのはとてもすごいことだなと思いました。

加藤:ありがとうございます。これからの礼夢選手のご活躍も応援しています!

礼夢:頑張ります! 応援よろしくお願いします!

取材後記:フィールドは違っても共通する「チャレンジ精神」

今回のインタビューでは、礼夢選手の進路を決める際に、本人の決断を信じ支える家族の存在の大切さを強く感じました。

また、ePARAの活動についても知っていただくことができ、舞台は違っても、これからの未来をともに作っていけるのではないかと思いました。ePARAの理念に、「挑戦と寛容」があります。チャレンジをして、もしそれがダメでもみんなで受け止める、そしてまたチャレンジをする。礼夢選手と周囲のみなさんにもそうであってほしいと思っています。

今井礼夢選手の今後のご活躍を、ePARA一同とても楽しみにしています! この記事をご覧のみなさまもぜひ応援をお願いいたします!

取材協力:HEAT UP(外部サイト)

PROFILE

今井礼夢(いまい・らいむ)

2004年10月18日、東京都生まれ。16歳。166センチ、67キロ。
生まれつき耳が聞こえない先天性難聴の障害を持つ。都立立川ろう学校中等部では野球部に所属。高等部には進学せず、小学生の頃からの夢だったプロレスラーを目指し、「HEAT UP」に入団。2020年12月7日、神奈川・新百合ヶ丘大会でのTAMURA戦でデビュー。母は女性4人組ダンス&ボーカルグループ「SPEED」の元メンバー今井絵理子さん。

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