アドテクノロジーとLGBTQの意外な関係――米広告代理店が提供する、新しい広告プラットフォーム

2020/11/25

「LGBTQ関連の情報を発信するメディアは広告費を集めにくい」、という課題があることをご存知だろうか?

その理由は、インターネット広告配信における「キーワード機能」にある。この機能は、配信する広告が望まないメディアに掲載されるないようするために、特定の単語やフレーズを含むメディアを広告の掲載先リストから自動的に除外することができる。差別的・暴力的コンテンツや、センシティブな政治ニュースを扱うメディアに広告が掲載されないようにするのには有効な機能である。

しかし、LGBTQ関連の情報を扱うメディアも、「セクシュアリティ」、「クイア」、「ゲイ」といった言葉を含むことから除外の対象となってしまうことが多い。これらの言葉は、人々を力づけたり肯定したりする表現として使われることがあるにも関わらず、だ。テクノロジーが、特定キーワードが使用される文脈までを理解することができなければ、全体としてLGBTQに関連する出版物やメディアが広告掲載先として選ばれなくなってしまうのである。このことによって、LGBTQコミュニティは大きな影響を受け、広告費を得られない多数の出版社が閉鎖されたり、大幅に縮小されたりしてきた経緯がある。

この問題に対し、世界的なメディアエージェンシー「Mindshare USA」が、LGBTQに関連する出版物やコンテンツをサポートすることができる、LGBTQ専門の新しい広告プラットフォームの提供を開始した。このプラットフォームでは、LGBTQ関連のメディアや出版社を1つのリストに集約しており、広告主はこのプラットフォームを利用することで、LGBTQに関連する様々なコンテンツを積極的に支援できる仕組みだ。Mindshare USAとLGBTQコミュニティメンバーによる調査では、LGBTQメディアに広告を掲載することで、そうではないメディアに広告掲載した場合に比べ、多くのLGBTQの人々が商品を購入するなど、広告主にとっても有用であることが発見されたという。

LGBTQの人々の声やジャーナリズムを支援してきたアメリカのウォッカブランド「SKYY Vodka」は、この広告プラットフォームのローンチパートナーとして契約し、逆境に直面しても明るく輝き、多様性を賛美する人々にフィーチャーした「Proudly American」という広告キャンペーンを実施した。

SKYY Vodkaの「Proudly American」キャンペーンの広告が掲載されている。 Image via Mindshare USA

広告掲載の安全性を確保するためのツールやテクノロジー、ガイドラインは、広告主によるメディアへの投資を保証する上で重要な役割を果たしてきた。しかし、キーワード機能の技術的な課題によって、マイノリティのためのメディアが意図せずに広告掲載先から排除されてしまう状況があることは否めない。

LGBTQに関して誤解や偏見や差別がなくなっていない現状では、メディアやジャーナリズムが果たす役割はとても重要である。Mindshare USAが提供したような広告プラットフォームが、マイノリティのためのメディアを保護し、適切な情報が必要な人々に届く社会になることを願いたい。

参考サイト:SKYY Vodka And Mindshare USA Take A Stand To Support LGBTQ Journalism(英語サイト)

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