コトナルでは、パラスポーツや障害者の環境をポジティブに変えていくアクションを紹介しながら、みんなができるアクションも呼びかけている。自分ができることを、まずはやってみる。今回、やってみる男DOマンこと、コトナル編集長がやってきたのは、渋谷区スポーツセンター。以前取材した、東京ヴェルディのヴェルレンジャーと渋谷区がタッグを組んでスタートしたスポーツ体験教室に参加した。
日テレ・ベレーザの岩清水選手も一緒に、ヴェルレンジャー流サッカーを体験!
オレの名前は、DOマン(ドゥーマン)。普段は、コトナルの編集長をしているサラリーマンだ。コトナルで呼びかけているアクションを自ら実践すべく、ヴェルレンジャーと渋谷区がはじめた「障害者スポーツ体験教室」の初日にやってきた。
この教室は、「障害者」という名前がついているが、障害の有無に関係なく誰もが参加して楽しむことができる。2019年4月からスタートし、毎月2回、年間全24回、ヴェルレンジャーと一緒にいろいろなスポーツを体験できるプログラムになっている。
DOマン:こんにちは。DOマンです。
中村隊長:DOマン君、こんにちは。ヴェルレンジャー隊長の中村です。今日は日テレ・ベレーザの岩清水選手もコーチとして参加してくれますよ。
DOマン:えっ! あのなでしこJAPANでも活躍していた岩清水選手ですか!? それは楽しみですね。よろしくお願いします!!
この教室では、毎回違うスポーツを楽しむことができる。この日は「サッカー」だ。アイスブレイクとして、みんなで列車になってビブスの"しっぽ"を取り合ったり、サッカーボールを使ってあいさつをしたり、足の下にサッカーボールくぐらせたり。参加者が自然と打ち解けながら、少しずつサッカーに近づいていくプログラムになっている。
最後は試合をして、約1時間の教室は終了。いわゆる通常のサッカーの試合ではなく、それぞれがボールを持ち、待ち構える4人のゴールキーパーのところへ行きシュートをするというルールだ。
悔しさを隠しながら、体験終了後、岩清水選手に突撃取材してみた。
岩清水選手:そのマスク、見えているんですか?
DOマン:見えてはいる。目が泳いでいるのがバレないようにするために、目を隠しているのだ。......すみません、まだキャラが定まりきってなくて、変な口調で。今日はどうでしたか?
岩清水選手:楽しかったですね。練習や試合の合間に、機会があったらまた参加したいです。
DOマン:唐突ですが、岩清水選手にとって「スポーツ」ってなんですか?
岩清水選手:私は、スポーツしかやってこなかった人間なんで、難しい質問ですね......(笑)。でも、スポーツって、コミュニケーションツールだと思います。質やレベルは違っても、誰でもできるし、今日のようなイベントでは知らない人とも交われる。それはスポーツの力だなって。こういう教室も継続的に開催して、どんどん広がってほしいですね。
DOマン:2020に向けてパラスポーツは盛り上がっているけど、2020年はゴールじゃないですもんね。今日はありがとうございました!
渋谷区が取り組む「どこでも運動場プロジェクト」がおもしろい!
もちろん、今回はただ体験をしにきたわけではない。新しい取り組みをはじめた渋谷区教育委員会の笠間さん、ヴェルレンジャー隊長の中村さんに、この教室をスタートさせた経緯や、誰もがスポーツを楽しめるようにするために今後どんなことが必要かなど、話を聞いた。
DOマン:今日はありがとうございます。この体験教室、昨年プレとして1回開催され、いよいよ今回から本格始動ですね。
渋谷区・笠間さん:ヴェルレンジャーの取り組みを知って、日野市の教室を見に行ったのがはじまりです。参加者が笑顔で取り組んでいたのが、すごく印象的で。たまたま隣でスポーツをやっていた一般の方も「おもしろそうだから参加してみたいな」って交流が生まれたり。まさにこれが、渋谷区がめざす多様性だと思いました。
中村隊長:お声がけいただいて、本当にうれしかったです。渋谷区という自治体は、常に新しいことにチャレンジするというイメージ。「障害があってもなくても、みんなで一緒にスポーツを楽しめる」ということを、東京中に、もっと言えば日本中に発信できると思うんです。今回の取り組みは小さな一歩かもしれませんが、価値ある一歩だと思います。
DOマン:渋谷というエリアは、いろいろなカルチャーが混ざり合って、それがエネルギーになっているような場所。個性や多様性を受け止める包容力がありますし、影響力もある。この取り組みが起爆剤になって広がってほしいですね(熱)。
中村隊長:確かに。渋谷は、あのスクランブル交差点に象徴されるように、多様な人が行き交う街ですよね。スポーツも、100人いれば100通りの捉え方があっていいと思うんです。自分でするのもスポーツだし、見学するのもスポーツ、応援するのもスポーツ。
渋谷区・笠間さん:まさに、渋谷区で今進めている「渋谷区スポーツ推進計画」も同じ考えです。「する」「見る」「支える」「つながる」という4本の柱で、どんな人でもスポーツに参加できる街づくりをしましょう、と。「思わず体を動かしたくなる街」というのがスローガン。実現するために、渋谷区の全エリア約15㎢をまるごと運動場にすべく、その取り組みの一つとして「渋谷どこでも運動場プロジェクト」もはじめました。
DOマン:それはおもしろいですね!
渋谷区・笠間さん:例えば、曜日や時間帯を決めて道路を歩行者天国のようにして、そこで子どもたちが遊べるとか。場合によっては、企業の公開空地やビルの屋上でスポーツイベントをしたり。いろんな可能性があります。そういう身近な取り組みを、渋谷区全体でつくっていこうとしているんです。
ここぞとばかりに、DOマンのプレゼンタイムへ突入!
DOマン:実は、コトナルでも、障害があるかどうかに関係なく、みんなで楽しくスポーツできる街に渋谷がなったらいいと思って、アイデアを考えてきたんです。
渋谷区・笠間さん:えっ!?
中村隊長:(笑)
DOマン:すみません、勝手ながらちょっとご説明させていただきます。
ということで、ひとしきりDOマンのプレゼンタイムへ。「する」「見る」「支える」「つながる」の4つの切り口で、新しいスポーツの形を提案させていただいた。
DOマン:障害の有無や性別・年齢にかかわらず、誰でも楽しめるパラスポーツ「ボッチャ」をハチ公前やファッションビル、キャットストリートなど、人が行き交う渋谷のいろいろな場所でプレイするイベント!場所にとらわれないことで、スポーツの魅力が広がり、ボッチャの楽しさもより多くの人に伝わります!
DOマン:渋谷区に多く集まるアパレルの店舗の協力を得ながら、パラスポーツをプレイするのにおすすめのかっこいいウェアを紹介するイベント!渋谷区らしさも伝わり、若者にもパラスポーツを楽しむきっかけが生まれます!
DOマン:道玄坂やスペイン坂、宮益坂など坂が多くある街、渋谷のほどよいスロープ感の坂を使って、車いすで滑走するイベント! アスリートによる「車いすのダウンヒルレース」への発展も。坂を上る・下る体験で車いすを使っている人の視点に立つことで、気づきの多い体験になります!
DOマン:例えば、スクランブル交差点を渡る障害者やお年寄りに、周りの人がサポートするのが当たり前になれば、もっと渋谷は誰もが動きやすい街に!親身にサポートしてくれるスポットや人をマップ化して、誰もが楽しめる街づくりをはじめるのはどうでしょう?
渋谷区・笠間さん:アイデア、ありがとうございます。渋谷区の新庁舎にはイベントスペースがあって、ボッチャの体験会も開催したんですよ。
DOマン:そうでしたか! ボッチャは、ルールがシンプルで誰でもできるけど、奥が深くておもしろいですよね!! ボールとちょっとしたスペースがあればできるので、すごく可能性を感じますよ(熱)!
渋谷区・笠間さん:他の案も、後でじっくり読ませてもらいますね。
中村隊長:ヴェルレンジャーに何かお手伝いできることがあれば、ぜひ声をかけてください!
DOマン:なにとぞご検討のほど、よろしくお願いします!!!
DOマンの学び
──渋谷のカルチャーが、空気を変えていく。
多様性を受け止める包容力のある街、渋谷。そんな街の気質が新しいカルチャーを次々と生み出してきた。それまではなかった時代の空気が、気がついたら生まれ、みんなの当たり前になっていく。カルチャーにはそんな力があるとオレは思う。
インクルーシブな街を目標にしている渋谷は、かっこいい。それに共感する人が増えていけば、渋谷はさらにインクルーシブなカルチャーが根付く、もっといい街になるはずだ。障害のあるかどうかにかかわらず、いろんな人が当たり前にスクランブル交差点を行き交う未来が来たら、かっこいいと心から思った。